プロにきく活用術

非課税の恩恵をいかし、期待リターンの高いものを
優先的に割り振る

手元にあるお金も含め「金融資産全体でどういうふうに運用していこうか」という計画を立てる

個人型確定拠出年金では、金融機関を選んだら、そのあとに決めなくてはならないことがあります。それは毎月いくら積み立てるか、そして、どの商品をどのくらいの割合で買付けしていくか、ということです。

このときに、注意したいのが個人型確定拠出年金だけを“別ポケット”として切り離して考えてしまうことです。個人型確定拠出年金口座の枠内で、どんな商品をどれくらいの割合で買っていこうかと考えてもあまり意味がありません。手元にあるお金も含めて、「金融資産全体でどういうふうに運用していこうか」という計画を立てる必要があります。

資産形成の手順

家計の把握(バランスシート、年間収支)
 
金融資産全体で資産配分(アセット・アロケーション)を決める
 
それぞれの資産クラスで最適な商品を選ぶ
 
運用する場所(アセット・ロケーション)を決める
→確定拠出年金やNISAの活用/資産をどう割り振るか検討
金融機関を選択して商品を購入
→一括で買うか積み立てる
チェック&メンテナンス
 

非課税の口座には期待リターンの高いものを振るのが合理的

投資をするときのコストは「マイナスのリターン」。
コストというと金融商品の「手数料」が思い浮かびますが、「税金」も立派なコストです

確定拠出年金の運用益は非課税なので、老後に備えた運用をするなら、長期的に期待されるリターンの高い商品で運用したほうが非課税枠を効率的に活用できます。例えば、手元にあるお金は定期預金などの元本確保型の商品に預けて、確定拠出年金では投資信託を活用するということが考えられます。

具体的には、長期的に期待されるリターンが高いのは株式です。ですから、確定拠出年金では国内外の株式で運用したほうが、複利効果や、課税の繰り延べ効果がより効いてきます。

確定拠出年金では直接株式を買うことはできないので、実際には株式に投資をする投資信託を買付けするということになります。
特に60歳まで運用期間が長くとれる人は株式に投資する投信を中心に運用したほうが、長期的には「預金だけ」で運用するより大きくお金を育てることが期待できます。確定拠出年金以外にまとまった預金があるなら、若いうちは確定拠出年金口座の中で組み合わせに頭を悩ませるよりも、1~2万円程度の掛金の全額を株式投信に振り向けてもよいのではないでしょうか。

もし手元資金でたくさんの投信を保有しているのに、確定拠出年金では元本確保型商品ばかりを保有するという人がいたら、確定拠出年金のメリットを十分に生かしきれていないということになります。

もう1つ、確定拠出年金で投信を買付けすることのメリットがあります。
確定拠出年金で選択できる投信は金融機関の窓口で販売されているものとは異なり、原則として購入時手数料はかかりません。投信の運用管理費用(信託報酬)についても、割安に設定されているものが多いのです。

このように、金融資産全体で、預金などの安全資産や株式や債券の組み合わせを考えて、そのうち株式部分を確定拠出年金の商品に割り振るというのが基本的な考え方です。ただ、「投資をまったくしたことがない」「投資を始めたばかり」という方もいるでしょう。その場合には最初は「確定拠出年金の口座内」だけで安定的な組み合わせをつくってもかまいません。バランス型の投信を活用するというのも、選択肢のひとつです。

慣れてきたら、徐々に「金融資産全体で、預金などの安全資産や株式や債券の組み合わせを考えて、そのうち株式部分を確定拠出年金の商品に割り振る」というふうにシフトしていけばよいと思います。

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