プロにきく活用術

「積立王子」こと、セゾン投信の中野社長から個人型確定拠出年金をはじめる方への応援メッセージです。

中野 晴啓 氏
「実は大切!iDeCoパートナー選び」

iDeCoやるぞ!と前向きに行動した時、その第一歩はどこで始めるか、という金融機関選びからになりますね。大半の銀行や証券会社では、iDeCoへの対応を行っています。この業務を行う機関を運営管理機関といい、運管と略されています。実際には銀行や証券会社自身が運管を営んでいるところと、別の運管に業務委託して自身は顧客を紹介誘導するケースがあります。この辺りの見極めは非常に難しいのですが、概して運管業務を丸投げしている金融機関はその姿勢が示す通り、iDeCoへの熱意は薄いと思ってよさそうです。

運管によって、継続的にかかるコストにはけっこう差があるとともに、運用商品のメニューの中身も随分と違います。

まずはコストからお話ししましょう。共通にかかる費用として、国民年金基金連合会に支払う「事務手数料」と信託銀行に支払う「資産管理手数料」があり、合計で年間2,004円(税別)かかります。そして、それ以外に運管に支払う運営管理手数料があります。これが運管によってかなり違うのです。高いところだと年間8,000円近くかかりますので、特に残高が少ない初期の頃にはかなりのマイナスリターンに直結してしまいます。ちなみに楽天証券はこの手数料がゼロ円ですので、いちばんコストが安い運管ということになりますね。

次に運用商品の内容ですが、一概には言えませんがそれでも本気度の低いと思われる運管だと昔からある旬が過ぎた高コスト商品ばかりが並んでいたり、大手金融機関の運管だとどうしても自社系列商品に偏重したラインアップになりがちだったりします。あるいは保険会社の運管だと元本確保型の保険商品が中心になるなど、メニューが偏ったりしているのです。

実はiDeCoの選択では、どういう運用を自分がしたいのか、ひいては自分が求める商品がメニューに存在しているのかを見極めることが最重要です。メニューの充実度と運管の運用に対する理念が堅固に反映されているお相手(運管)を選ばないと、残念な商品選択を強いられることになりかねないのです。

iDeCoは長い人生軸で、自らの判断と意志によって選択する自分年金です。近所だからとか、ずっと給与振込口座で使っているから、といった理由だけで運管を決めてはいけません。冷静沈着に、コスト負担が小さく、自分の求める運用メニューを提供しているお相手をしっかり真剣に選んでください。大半の方々にとっては、世界中に分散投資されたポートフォリオで信頼できる投資信託が提供されている運管を、自ら考えて選択していただくとよいと思います。

「まず隗より始めよ」と言いますが、iDeCoの隗は運管なので“身近なところ”というだけで決して選ばぬこと!ですね。