確定拠出年金とは

3つのメリット

個人型確定拠出年金には公的年金を補う目的があるため、税制面で優遇された制度となっています。
掛金、運用、給付の3段階で税制優遇のメリットがあります。

メリット1 掛金拠出時の税制優遇
メリット2 運用時の税制優遇
メリット3 受取時の税制優遇

メリット1掛金拠出時の税制優遇

確定拠出年金に拠出した掛金は全額が所得控除(小規模企業共済等掛金控除)の対象となり、所得税・住民税が軽減されます。
年末調整や確定申告により、納付した税金を所得と掛金に応じて還付することができます。

【例】掛金を毎月1万円(年間12万円)かけた場合

  • 年収500万円の場合、所得税20%・住民税10%、年収1,000万円の場合、所得税33%・住民税10%で試算。
  • 国復興特別所得税は考慮していません。
  • 一年収や家族構成等に応じて軽減額は異なります。

掛金限度額

月々の掛金限度額 第1号被保険者 自営業者とその家族 6万8,000円
自由業
学生
第2号被保険者 60歳未満の厚生年金保険の被保険者 2万3,000円
現在お勤めの企業で、企業型年金に加入している方 1万2,000円~2万円
公務員など共済組合に加入している方 1万2,000円
第3号被保険者 厚生年金や共済組合に加入している方の被扶養配偶者の方 2万3,000円

納税額がこれだけ違ってきます!

課税所得 税率 年間節税金額
所得税
(税率.%)
住民税
(税率.%)
年間掛け金※1
14万4,000円
年間掛け金※2
27万6,000円
年間掛け金※3
81万6,000円
195万円以下 5% 10% 2万1,600円 4万1,400円 12万2,400円
195万円超330万円以下 10% 2万8,800円 5万5,200円 16万3,200円
330万円超695万円以下 20% 4万3,200円 8万2,800円 24万4,800円
695万円超900万円以下 23% 4万7,520円 9万1,080円 26万9,280円
900万円超1,800万円以下 33% 6万1,920円 11万8,680円 35万0,880円
1,800万円超4,000万円以下 40% 7万2,000円 13万8,000円 40万8,000円
4,000万円超 45% 7万9,200円 15万1,800円 44万8,800円
  • 復興特別所得税は考慮していない
  • ※1公務員や、勤務先に企業年金がある会社員の加入限度額
  • ※2勤務先に企業年金も企業型確定拠出年金もない会社員や、専業主婦(主夫)の加入限度額
  • ※3自営業者の加入限度額

メリット2運用時の税制優遇

投資信託等の金融商品で運用する場合、決済時に運用益に対して所得税・住民税等(20.315%)が課税されますが、確定拠出年金では運用益が非課税となります。
得られた利益をそのまま運用することになるため、より大きな複利効果が生まれます。

【例】1万円の収益が出た場合

一般の証券口座等:課税2,031円

確定拠出年金:課税0円

通常の預貯金と確定拠出年金の増加比較

メリット3受取時の税制優遇

積み立てた年金資産を受け取る際の給付金の種類や受取方法によってそれぞれことなる税制メリットが用意されています。
給付金には「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」の3種類があります。

  受取方式 課税方法
老齢給付金 年金 公的年金等控除が適用
一時金 退職所得控除が適用
障害給付金 年金または一時金 所得税、住民税ともに非課税
死亡一時金 一時金 相続税の課税対象

老齢給付金

60歳以降に受給する個人年金資産を「老齢給付金」といいます。
老齢給付金は年金方式で5年以上20年以下の期間で受け取るか、または一時金として一括で受け取るかを選択できます。
また、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能です。
年金方式で受け取る場合は公的年金等控除、一時金方式で受け取る場合は退職金所得控除が適用され、一定金額まで税金がかかりません。

年金方式で受け取る場合の税制メリット

老齢給付金を分割で受け取る場合、雑所得となり他の公的年金等の収入の合算額に応じて公的年金等控除の対象となります。
公的年金等の収入の合計額が65歳未満だと70万円まで、65歳以上だと120万円までは税金がかかりません。

公的年金等控除の計算方法は以下の通りです。

年金受取者の年齢 公的年金等の収入の合計額※ 割合 控除額
65歳未満 公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額はゼロとなります。
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額はゼロとなります。
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

例えば65歳以上の人で「公的年金等の収入金額の合計額」が350万円の場合には、公的年金等に係る雑所得計算は次のようになり、算出された金額が課税対象となります。
3,500,000円×75%-375,000円=2,250,000円

  • 「公的年金等の収入の合計額」とは以下の合計金額となります。
    1 国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法などの法律の規定に基づく年金
    2 恩給(一時恩給を除きます。)や過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
    3 確定給付企業年金契約に基づいて支給を受ける年金

一時金方式で受け取る場合の税制メリット

老齢給付金を一括で受け取る場合は退職所得となり、退職所得控除が受けられます。確定拠出年金の積立期間(勤続年数)によって控除額が算出されます。

退職所得控除の計算方法は以下の通りです。

勤続年数 退職所得控除
20年以下 40万円 × 勤続年数(80万円以下のときは、80万円)
20年超 800万円 + 70万円 ×(勤続年数 - 20年)

例えば確定拠出年金の積立期間が25年であった場合には、退職所得控除額は次のようになります。
800万円 + 70万円 × (25年 - 20年)=1,150万円

障害給付金

加入者または加入されていた方が、70歳になる前に政令で定める高度障害となった場合、加入年数に関係なく障害給付金の支給請求対象となります。
受取方法は年金方式で5年以上20年以下の期間で受け取るか、または一時金として一括で受け取るかを選択できるほか、年金と一時金を組み合わせて受け取ることも可能です。
障害給付金の場合、受け取り方法(分割または一括に)よらず非課税となります。

死亡一時金

加入者がまたは加入されていた方が亡くなった場合、ご遺族に対して「死亡一時金」が支給されます。
死亡一時金はみなし相続財産として、相続税の課税対象となります。

  • 脱退一時金は、一時所得として所得税等の課税対象となります。
    なお、一時所得の以下の計算式で算出されます。
    一時所得の金額 = {脱退一時金の額-特別控除額(50万円)}